「藤本蚕業アーカイブ構築」を振り返って

「藤本蚕業アーカイブ構築」を振り返って

 私はこの一年間地域資料のデジタルアーカイブ活動を行い、活用機会が無い地域資料の撮影とネット上の公開をしました。その中で藤本蚕業アーカイブについて紹介します。
 藤本蚕業アーカイブは藤本蚕業歴史館史料をネット上に公開するアーカイブであり、かつて蚕の卵である蚕種の日本最大製造地であった上塩尻の中心であった佐藤家(藤本蚕業)所蔵の史料を扱っています。歴史館では蚕種にとどまらず歴史、文化、地理に関わる文書・書籍も多く有しており、アーカイブでも見ることが出来ます。私は当アーカイブにおいて主に史料の撮影、記事の投稿を担当しました。
 実際の資料を紹介します。
 1925年11月に発行された上田市図書館報第三号では、最も興味深い点として新刊の発表に法学系冊子を真っ先に乗せている点で、大正デモクラシーの世の中において国家をどのように統治すべきかを模索してる様子が伺えます。
 1908年版の北海道の地図では、北海道各地の地名の他鉄道路線が描かれており、当時の北海道開拓がどれほど進んでいたのかをハッキリと示す貴重な史料となっています。
 藤本蚕業歴史館はこのように多分野にわたる貴重な史料を有していますが、一方でアーカイブ構築の際には苦労も存在しました。
 藤本蚕業歴史館は歴史館と名前はつきますが図書館や文書館などの専門機関ではないため史料管理が難しく、劣化の激しい史料の撮影が困難になるという問題があります。また、分厚い史料は高画質撮影が可能なスキャナー撮影が出来ず、低画質やブレが生じやすいなどの問題を抱えるカメラ類(一眼レフ、デジタルカメラ)撮影に移行せざるを経ず、画質の保障が今後のアーカイブ構築における問題の1つとなっています。
 このような問題はありますが、藤本蚕業歴史館はここで紹介した史料や今現在アーカイブにある史料以外にも多くの貴重な史料が存在し、今後も記事投稿を通して史料の新規公開を進めていきます。また、このような史料のアクセス機会を増やすことは地域の魅力の再発見や歴史研究の更なる発展を支えるであろう一次史料の提供という役割を果たすことが出来、それによって地域づくりに貢献していきたいと考えています。

「藤本蚕業アーカイブ」

[dc-1-22]上田市図書館報第三号(1925)

[e1908-21-2]北海道庁管内全図明治41年版(1908)

登録日:2023-02-03 投稿者:じょうじ
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